American Journal of Enology and Viticulture
Volume 59 No.4 (2008)
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/353
R. Morlat, and R. Chaussod: Long-term Additions of Organic Amendments in a Loire Valley Vineyard. I. Effects on Properties of a Calcareous Sandy Soil. pp. 353-363.
[ロワール渓谷ブドウ園における有機質土壌改良剤の長期施用 I.石灰砂質土壌の特性に及ぼす影響]
砂質ブドウ園土壌の物理的、化学的、生物学的特性に及ぼすさまざまな有機質土壌改良剤の影響について長期間(28年間)の試験を実施した。ブドウ剪定枝粉砕物(2 t/ha)、牛糞堆肥(10および20 t/ha)、あるいは菌床残さ堆肥(8および16 t/ha)のいずれかの毎年施用と無施用処理とを比較した。28年間土壌改良剤無施用区は、総有機体炭素(TOC)がゆっくりと限られた範囲(19%)で減少した。有機質土壌改良剤を最も大量に施用した区では、TOCが上昇し20年後には飽和値に達し、炭素(C)は28年後に30 Mg/haが隔離された。AMGモデルによるシミュレーションで最終的に予測されたTOCはすべての処理区でTOC実測値より低かった。土壌微生物バイオマスCは処理開始24年後の土壌改良剤無施用区で非常に低かった。中程度の(およびそれと同等の)微生物バイオマスは適度の剪定枝粉砕物施用区(2 t/ha/yr)および牛糞堆肥と菌床残さ堆肥の低施用量区で観察されたが、有機物資材の多施用量区では高くなった。表土におけるTOC増加の結果として土壌保水容量を改善し、土壌密度が減少した。土壌PとK濃度は有機質土壌改良資材により増加した。有機物の多量施用区では無機化Nがブドウ樹の要求量を大幅に超過しN溶脱の重大なリスクをもたらしていた。ブドウ剪定枝粉砕物のような栄養性の低い有機試合の利用により、有害な副作用なしに土壌有機物含量および土壌特性の保全のあるいは改善が可能となると思われる。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/364
R. Morlat: Long-Term Additions of Organic Amendments in a Loire Valley Vineyard on a Calcareous Sandy Soil. II. Effects on Root System, Growth, Grape Yield, and Foliar Nutrient Status of a Cabernet franc Vine. pp. 364-374.
[石灰砂質土壌上のロワール渓谷ブドウ園における有機質土壌改良剤の長期施用 II.カルベネ・フランの根系,成長,収量および葉の栄養状態]
長期間(28年間)の圃場試験を1976年にフランスロワール渓谷シノンのブドウ園で開始した。異なるタイプと施用量の有機質土壌改良剤について6処理[ブドウ剪定枝粉砕物(2 t/ha)、牛糞堆肥(10および20 t/ha)、菌床残さ堆肥(7および14 t/ha)、および有機物無施用の対照区]で比較した。各処理におけるブドウの根系、剪定重、収量とその構成要素および葉の栄養状態に対する影響について調査した。顕著な影響は14年目に記録された。牛糞堆肥20 t/haのような多量施用ではブドウ根系のサイズが対照区に比べ減少したが、ブドウ剪定枝粉砕物(2 t/ha)は発根を促進した。有機質土壌改良剤の多量施肥はおそらく土壌の塩類集積による水分供給の減少あるいは結果として生ずる生育低下のために、しかしより可能性の大きい高濃度の窒素による毒性の影響のために剪定重と収量を減少させた。この望ましくない影響は有機質堆肥を低量(10 t/ha/yr)施用した区では認められなかった。ブドウ樹の挙動における結果から、剪定枝粉砕物処理が好ましい影響を示す傾向が認められた。もっとも多量の土壌窒素供給を供給した連年の高レベル土壌改良剤施用はブドウの耐久性、成長および生産性にむしろ利益を与えないため無益な行為である。対照的に、剪定枝のような適度な量の施用は持続的なブドウ栽培によく適合すると思われる。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/375
R. Morlat, and R. Symoneaux: Long-Term Additions of Organic Amendments in a Loire Valley Vineyard on a Calcareous Sandy Soil. III. Effects on Fruit Composition and Chemical and Sensory Characteristics of Cabernet franc Wine. pp. 375-386.
[石灰砂質土壌上のロワール渓谷ブドウ園における有機質土壌改良剤の長期施用 III.カルベネ・フランの果実成分と化学および官能特性に及ぼす影響]
シノン地区(フランスロワール渓谷)のブドウ園において対照区(有機質無施用)と3種の有機質土壌改良剤[剪定枝粉砕物(VPW)、牛糞堆肥(CM)、および菌床残さ堆肥(SMC)]を比較する長期(28年)試験を実施した。毎年、VPWは2 t/ha(VPW2)、CMおよびSMCは2段階の量(中程度と多量)とし、牛糞堆肥は10 t/ha(CM10)と20 t/ha(CM20)、菌床残さ堆肥は8 t/ha (SMC8)と16 t/ha(SMC16)を施用した。処理の影響は果実および果汁の組成(可溶性固形物、滴定酸度、pH、アントシアニン、総ポリフェノールインデックス、および無機成分)およびワインの官能特性について調査した。高レベルの有機質土壌改良資材、特にCM20は、対照区に比べ果実成熟を遅延させ、果汁中の可溶性固形物、アントシアニン、およびタンニン含量を低下させ、いっぽうpH、窒素、リンおよびカリウムは有意に増加した。これらの影響の多くはワインにおいても認められた。結果として、高レベルの牛糞堆肥施用区のワインは他の処理区と比べ着色程度とアロマの持続性は弱かった。高レベルの有機質土壌改良剤施用に結果による多量の窒素供給がこれらの影響を説明する主要な要因と考えられる。ワインブドウ生産者の目的が最高品質のワインのための最高品質ブドウ生産であれば、高レベルの有機質土壌改良剤施用は避けるべきでブドウ樹の窒素栄養は環境条件に関して弾力的、適応的な方法で管理すべきである。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/387
L. Cadle-Davidson: Monitoring Pathogenesis of Natural Botrytis cinerea Infections in Developing Grape Berries. pp. 387-395.
[発育中のブドウ果粒における自然感染したBotrytis cinereaの発病モニタリング]
静止感染はブドウ属植物におけるBotrytis cinerea発病過程および果房における灰色かび病の制御において鍵となる役割を持つ。静止状態の生物学および抵抗性系統の同定の理解は病害制御の改善をもたらすと考えられる。2004年と2005年に二つの方法で32系統のブドウ属植物種および種間交雑種において自然のB. cinerea感染における静止状態と活性化をモニターした。組織凍結と培養によるB. cinereaの早期検出のための標準検定法に加え、リアルタイム定量PCR 法(qPCR)を開発し、試験した。TaqMan chemistry法に基づいた、このqPCR法はB. cinerea DNAを3.2 pgまで正確に定量でき、検出限界は100 fgでブドウDNAを増幅することはなかった。qPCRと凍結検定は2004年と2005年における実際の灰色かび病の罹病度(それぞれ22.5%と1.0%)に相当するB. cinereaの感染レベルを検出した。感染に対する抵抗性、菌のコロニー形成程度、罹病度はブドウの系統によりさまざまであった。qPCRは感染初期における検出には凍結検定ほど効果的ではなかったが、菌のコロニー形成程度を定量できたことから、B. cinerea発病を経時的にモニタリングできる新しい可能性を提供する。果粒発育の初期におけるB. cinereaを検出できる検定法とコロニー形成をモニターできる検定法の二つを組み合わせることは病害制御の意思決定に情報を与え、病害抵抗性機構を同定するための方策を供給する。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/396
T. Garde-Cerdan, A. Zalacain, C. Lorenzo, J.L. Alonso, and M.R. Salinas: Molecularly Imprinted Polymer-Assisted Simple Clean-Up of 2,4,6-Trichloroanisole and Ethylphenols from Aged Red Wines. pp. 396-400.
[分子鋳型ポリマーの助けを借りる熟成赤ワイン由来の2,4,6-トリクロロアニソールとエチルフェノールの簡単な浄化]
ワインにプラスのアロマを与える成分もある一方で、不快な臭いを与えるものもある。後者の中で、2,4,6-トリクロロアニソール(TCA)、4-エチルフェノールや4-エチルグアイアコールはワインの品質を損ねる成分である。分子鋳型ポリマーは、標的になる分子に特異的に再結合できるように人工的に形成した認識部位を有する合成物である。この研究の目的は、分子鋳型ポリマー(MIP)や分子非鋳型ポリマー(NIP)が、熟成した赤ワイン由来のTCAやエチルフェノールをどのように除去できるのかを判定することである。結果としては、TCAがNIPやMIP内に保持された時には有意の差が観察されず、一方、4-エチルフェノールや4-エチルグアイアコールは、それぞれ92.3%と89.4%とMIPでより保持された。オークラクトン、オイゲノール、2-フェニルアルコールのような他の揮発性ワイン成分もまた試験され、MIPが一貫して最も高い保持値を示した。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/401
G.R. Kumar, R. Goyashiki, V. Ramakrishnan, J.E. Karpel, and L. F. Bisson: Genes Required for Ethanol Tolerance and Utilization in Saccharomyces cerevisiae. pp. 401-411.
[Saccharomyces cerevisiaeのエタノール耐性と利用に必要な遺伝子]
制限通気条件下におけるエタノール耐性に影響を及ぼす変異を確定するために、酵母破壊株をスクリーニングした。エタノール耐性は増殖と相関し、親株で到達した最終吸光度を得られる相対能力として評価した。評価した4750株の破壊株のうち、175株は5%エタノール存在下で増殖不良を示した。これらのうち21株は著しい増殖不良を示した。多くの株の増殖は通気で改善されたが、5つの株は弱い増殖を示し続けた。5株とはCLC1⊿、GSH1⊿、UME6⊿、TDP3⊿、VPS24⊿であった。ADH1⊿はまた、エタノールに対し、より高い感受性を示したが、エタノール欠乏下で分析に用いる最小培地において、他の株と同様に増殖せず、より強い通気の影響を受けた。また、単一基質やエネルギー源としてのエタノールに対し、増殖に影響を及ぼす変異を確定するために、破壊株をスクリーニングした。同時に、呼吸系基質に対する増殖に必要な遺伝子の変異を明らかにするため、乳酸塩について評価した。全部で176個の破壊株が、エタノールや乳酸塩の両方に対して増殖不良を生じた。これらの遺伝子の多くは、呼吸、ミトコンドリアATP合成、またはオルガネラの完全性に必要な他のミトコンドリアの機能に関与していた。更なる165個の破壊株はエタノール特異性の増殖不良を示す結果になった。これらの破壊株は、他のミトコンドリア蛋白と同様、幾つかの異なる機能群を表現する遺伝子を含んでいた。14個の遺伝子だけが、乳酸塩に対する特異的増殖不良を生じさせた。低い糖濃度に対して増殖不良を生じる破壊株は見出せなかった。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/412
RESEARCH NOTE:
J. Tardaguila, P.R. Petrie, S. Poni, M.P. Diago, and F.M. de Toda: Effects of Mechanical Thinning on Yield and Fruit Composition of Tempranillo and Grenache Grapes Trained to a Vertical Shoot-Positioned Canopy. pp. 412-417.
[VSP整枝したテンプラニーリョとグルナッシュの収量と果実組成における機械摘心の影響]
テンプラニーリョとグルナッシュ(Vitis vinifera L.)の収量構成要素と果実組成における収穫機(ハーベスター)を用いた機械摘果の影響を調査した。試験はスペインの2か所のVSP整枝をしたブドウ園で2年にわたり実施した。幹をたたいてロッドで樹冠を振動させ果実を除去できるようにハーベスターの高さとロッドの位置を調整した。テンプラニーリョはベレゾンの10日前までに、グルナッシュは果粒の10~15%が着色した時期に摘果した。機械摘果は両品種ともほぼ同量の果実(~65%)果を除去し、房当たりの粒数、果房重および果房の密着度を有意に低下した。灰色かび病の発生は2007年のグルナッシュにおいて機械摘果により減少したが、それ以外では盈虚がなかった。可溶性固形物濃度は、テンプラニーリョにおいて2年間にわたり、グルナッシュの2006年において機械摘果により高くなったが、このことは樹タイへの損傷が最小限だったことを示唆する。フェノール物質濃度は、無摘果の対照区と比べ2007年のテンプラニーリョにおいて果粒あたりおよび果粒新鮮重あたりのいずれにおいても、グルナッシュは2006年の果粒あたりで機械摘果処理により高くなった、ハーベスターで行った機械摘果はVSP整枝したブドウ園において収量を制御する費用効果のある技術となる可能性がある。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/418
RESEARCH NOTE:
C. Knoll, B. Divol, and M. du Toit: Influence of Phenolic Compounds on Activity of Nisin and Pediocin PA-1. pp. 418-421.
[ニシンやペディオシンPA-1の活性に対するフェノール化合物の影響]
バクテリオシンをワインにおける微生物安定剤として評価した。しかし、赤ワインにおいてフェノール成分はバクテリオシンの活性や安定性に対して負の影響を与え、結果としてワインにおけるバクテリオシンの応用は限定されると考えられた。この研究では、ニシンやペディオシンPA-1の活性に対するフェノール化合物やポリフェノールの影響を調査した。バクテリオシン活性に対する影響は検出されなかった。さらには、Pediococcus pentosaceus NCDO 813の生残性に対するフェノール化合物とバクテリオシン間の相乗作用が観察された。結果として、フェノール化合物またはポリフェノールとのバクテリオシンの組合せは、103~106のバクテリア細胞数を減少させることを証明した。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/422
RESEARCH NOTE:
J.K. Myers, J.A. Wolpert, and G.S. Howell: Effect of Shoot Number on the Leaf Area and Crop Weight Relationship of Young Sangiovese Grapevines. pp. 422-424.
[サンジョベーゼ若年樹の葉面積と収量の関係における新梢数の影響]
5年生サンジョベーゼにおいて初春に3段階[1樹当たり12新梢(12SH)、20新梢(20SH)および28新梢(28SH)]で新梢の間引きを行った。新梢当たりおよび1樹当たりの主梢葉および副梢葉の面積は新梢長に対する回帰により求めた。収量を収穫期に、剪定重を休眠期剪定期に測定した。12SH区では、より長く重量のある新梢、より大きな新梢当たりの葉面積、より高い副梢葉としての葉面積の比率が認められた。1樹当たりの葉面積および1樹当たりの剪定重は新梢数の影響を受けなかった。データは剪定時の芽数の増加あるいは春の新梢間引き期時の新梢数の増加が副梢における葉面積比率と果粒重に対する葉面積の比率を低下させ、Ravaz index(収量/剪定重)を増加させた。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/425
RESEARCH NOTE:
J.M. Meyers, and J.E. Vanden Heuvel: Enhancing the Precision and Spatial Acuity of Point Quadrat Analyses via Calibrated Exposure Mapping. pp. 425-431.
[較正した露光状態マッピングによるポイントコドラート法の正確性と空間的鋭敏性の向上]
樹冠露光環境のモデリングにはバイオマス分布と光量子束分布(PFD)の正確な測定が必要である。しかしながら、これらの測定を行う慣用的な方法は正確性と実用性の点で限界がある。ポイントコドラート法(PQA、樹冠構造学のための標準法)は、全樹冠を通過したPFDの測定において典型的に精密なデータ採集手順を要求するにもかかわらず、空間的正確性に限界があり、較正ができない。そこでPQAと光量子束測定を較正したバイオマスとPFDモデルに組み合わせた新しい方法を導入した。これらの技法を新梢の間引きの研究から得たサンプルデータに適用したところ、樹冠のバイオマス分布、光環境および処理の効力について定量的記述を示すことができた。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/432
RESEARCH NOTE:
K.M. Hagen, M. Keller, and C.G. Edwards: Survey of Biotin, Pantothenic Acid, and Assimilable Nitrogen in Winegrapes from the Pacific Northwest. pp. 432-436.
[太平洋側北西のワイン・ブドウのビオチン、パントテン酸、酵母資化性窒素の調査]
2001年および2003年に、太平洋側北西に位置するブドウ園からワイン用ブドウを採取した。リースリングとシャルドネは、赤品種よりビオチン濃度(しばしば、<1 μg/L)が低かった。パントテン酸濃度(平均513±181 mg/L)はリースリングが最も低く、シャルドネは最も高かった。ほとんどのブドウ・サンプルは酵母資化性窒素(YAN)が低く、25~336 mg/L(平均124±62 mg/L)であった。一方、ほとんどのブドウは、発酵に必要なパントテン酸濃度は十分であったが、ビオチンおよびYANは不足するものが多かった。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/437
RESEARCH NOTE:
E. Stover, S. Riaz, and M.A. Walker: PCR Screening for Xylella fastidiosa in Grape Genebank Accessions Collected in the Southeastern United States. pp. 437-439.
【合衆国南東地域で採集したブドウジーンバンク系統におけるXylella fastidiosaのPCRスクリーニング】
カリフォルニア州デービスにある国立栄養系遺伝資源保存所(NCGR)ではカリフォルニア州ウィンターズの圃場にて温暖気候地域に産するブドウの合衆国収集系統を保持している。これらの収集系統は合衆国南東部に自生している多くのピアス病抵抗性系統だけでなく、高い感受性をもつ系統も多数含んでいる。もし、glassy-winged sharpshooter(Homalodisca vitripennis、ヨコバイの一種)がウィンターズ地域に定着し、収集系統の中にあるピアス病原のXylella fastidiosa(Xf)を保持している系統があるならば、ジーンバンク中へのXfの急速な感染源となるだろう。そこで、Xfに特異なゲノムシーケンスで、試験した全てのXf株に高い感受性と特異性を持つことが報告されているプライマーセットを用いてXfに対するPCRスクリーニングを行った。NCGRの中からXfが蔓延している地域から収集されてからの経過時間と広い範囲の分類群とを代表し60の異なる収集系統を選び、基部葉の葉柄を採取した。以前に接種があったシャルドネのみでXfの存在が確認された。Xfおよびピアス病が蔓延している合衆国南東地域において休眠枝の形態で収集されたNCGRのブドウは、Xfの重大な汚染源とはならない。もし、glassy-winged sharpshooter集団がジーンバンク周辺地域に定着した場合、収集系統のブドウを処分する理由は無いと考えられる。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/440
RESEARCH NOTE:
P.A. Skinkis, B.P. Bordelon, and K.V. Wood: Comparison of Monoterpene Constituents in Traminette, Gewurztraminer, and Riesling Winegrapes. pp. 440-445.
[トラミネット、ゲヴュルツトラミナー、リースリングのモノテルペン含有量比較]
モノテルペンはブドウのアロマ・キャラクターを決める上で重要である。そこで3種の品種:ゲヴュルツトラミナー、リースリング、トラミネット(ゲヴュルツトラミナーの交雑種)のモノテルペン含有量を比較した。比較はアロマ・プロファイルの類似度を定量して行い、米国東部および中西部で栽培するに足る高品質ブドウ品種かどうかを判断する基礎とする。結果は、ゲヴュルツトラミナーとトラミネットのモノテルペン類似度は非常に高く、強力なフローラル香である、シス-ロゼオキシドが総モノテルペン量の13~35%含んでいた。トラミネットはモノテルペンを、同一ブドウ園で栽培したゲヴュルツトラミナー、リースリングの2倍近く含んでいた。リースリングの香気成分としては、モノテルペンはゲヴュルツトラミナー、トラミネットと同様であるが、リースリングの果実様アロマは、多くがノルイソプレノイド由来であった。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/4/446
TECHNICAL BRIEF:
F.R. Santos, I. Cantarino, V. Geraldes, and M.N. de Pinho: Concentration and Rectification of Grape Must by Nanofiltration. pp. 446-450.
[ナノ濾過によるブドウマストの濃縮と精製]
ナノ濾過によるブドウマストの濃縮と画分の評価を、水透過性、阻止率、Entre Douro e Minho(EDM)ブドウマスト、4つのモデルマストの透過という広い範囲をカバーした6つのメンブランについて調査した。糖や有機酸の透過流量と阻止率を、全てのメンブランと様々な制御条件で測定した。透過流量は、より低い糖含量のモデルマストに対して23~113 kg h-1m-2と変化し、より高い糖含量のマストでは8~80 kg h-1m-2と変化した。EDMブドウマストの透過量は、より高い糖含量のモデルマストと同じであり、糖や有機酸の阻止率はモデルマストの阻止率より高かった。NFT50、NF200、NF270のメンブランについては、糖に関連した有機酸の優先的透過が確証された。この効果は、モデルマストの糖含量が増えるにつれて増加した。これらの結果は、メンブランの特徴とナノ濾過の制御条件の差別化に対して、ブドウマスト濃縮/精製工程としてのナノ濾過を推奨できる。