American Journal of Enology and Viticulture

Volume 68, No.3 (2017)

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/263

J.M. McRae, A. M.-Vasilev, A. Soden, A.M. Barker, M.P. Day, and P.A. Smith:
Effect of Commercial-Scale Filtration on Sensory and Colloidal Properties of Red Wines over 18 Months Bottle Aging.
pp. 263-274(Research Articles)

[商業規模での濾過が18ヶ月瓶熟成した赤ワインの官能特性とコロイドに与える影響]
 ろ過は赤ワインの安定化に不可欠であるが,コロイドや官能特性(テクスチャーなど)への影響が懸念される.小規模での実験では,色や多糖類の損失が見られるが,商業規模での効果については,わかっていない.4種の市販ワイン(2013年と2014年のCabernet SauvignonおよびShiraz)を2ヶ所の瓶詰所で,0.65 μmおよび0.45 μm膜濾過後,クロスフロー濾過およびレンズ状濾過の前後で採取した.Cabernet Sauvignonのワイン2014年は0.45 μmのポリエーテルスルホンまたはナイロン濾過した.クロスフロー濾過により,ワイン中の粒子径は全てのワインで有意に減少した.多糖類の濃度は0.45 μmの濾過で減少したが,タンニンや色調は変化しなかった.18ヶ月の瓶熟成後では,平粒子径は2013年のワインでは無濾過,濾過の両ワインとも同程度であったが,2014年のワインでは無濾過の物より濾過した方が小さくなった.官能検査では,濾過に関連したテクスチャー特性の変化は見られなかったが,両ワインの異なる濾過のグレードにおいて,有意に異なるアロマとフレーバー特性が見られた.これらの結果から,一般的に使用される濾過は色には影響を与えず,赤ワインの官能特性に最小限の影響しか与えないことが示された.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/275

K. Padmalatha, H. Weksler, A. Mugzach, A.K. Acheampong, C. Zheng, T. H.-Basha, and E. Or:
ABA Application during Flowering and Fruit Set Reduces Berry Number and Improves Cluster Uniformity.
pp.275-282

[開花期から結実期におけるアブシジン酸の処理はブドウの着粒数を減少させ,果房の揃いを向上させる]
 早生のヨーロッパブドウ品種である「アーリー・スイート」‘Early Sweet’の主要な欠点は,密着果房と果粒の大きさの変動が著しいことである.ここでは,果房あたりの果粒数を減少させ,果粒の大きさの揃いを向上させるアブシジン酸(ABA)の効果について試験を行った.商業ブドウ園から3年連続して生育期に得たデータは,ABA処理が濃度依存的に果房の果粒数を著しく減少させ,果房内の粒揃いを向上させるが,穂軸の長さには大きな影響を与えないことを示唆した.また,この結果は,ABAの果粒数削減の効果が,花穂の開花状況に依存することを示唆しており,開花前の処理は効果が限定されるか,全くないが,満開期および開葯直後に処理した場合に顕著な効果を示した.従って,果粒の数および果粒の大きさに対するABAの半実用的処理の効果は,不揃いな開花に著しく影響された.満開は,均一で効果的な果粒数削減の為,ABA処理の最適タイミングの明瞭な形態指標として役立つと思われる.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/283

  N. Luchaire, M. Rienth, C. Romieu, A. Nehe, R. Chatbanyong, C. Houel, A. Ageorges, Y. Gibon, O. Turc, B. Muller, L. Torregrosa, A. Pellegrino:
Microvine: A New Model to Study Grapevine Growth and Developmental Patterns and their Responses to Elevated Temperature.
pp. 283-392

[マイクロヴァイン:ブドウ樹の成長と発育パターン及びそれらの温度上昇への反応を研究する新しいモデル]
 制御された環境下で栽培され,標準化された植物材料の使用は,ブドウの生産と品質において,気候変動が与える多くの影響を明らかにすることを容易にする.Microvineは,矮性で早生の特性を示し,成長するシュートに沿って連続的な開花を示す,天然のジベレリン非感受性突然変異体である.Microvineは当初は遺伝学の植物モデルとして提案された.ここでは,ブドウの栄養成長,生殖成長,発育パターン及び気温上昇への反応の特性評価を行うため,Microvineの適性について検討した.一連の実験は,ガラス温室および生育チャンバー内において,数週間にわたり,標準区を昼温25℃,夜温15℃とし,対比区を昼温22℃,夜温12℃から昼温30℃,夜温25℃までとした温度条件下で行った.標準条件下では,葉および果実の成長における時間的なパターンは,元のシュートに沿って成長するいくつかのブドウ品種と類似しており,各器官の大きさと空間配置から時間的成長パターンを推定することができた.これらの葉および果実の成長における時間的なパターンは,同じ温度条件下および同じ日射照度条件下における独立した実験においては一定だった.植物体を対比区の温度条件下に置いたときは,葉の出芽率は日平均温度と相関関係にあり,温度と時系列の成長モデルを導き出することができた.低温条件下の昼温22℃,夜温12℃では,生化学的パラメーターの時間的変化はブドウにおける典型的な報告に類似していた.これらの結果は,気候変動に対するブドウの反応を研究するにあたり,Microvineが有効である可能性を示している.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/293

G. Balint, and A.G. Reynolds:
Irrigation Strategies Impact Baco noir Grapevines in Ontario. I. Vine Physiology, Vine Size, and Yield Components.
pp. 293-309 

[シャルドネおよびカベルネ・ソーヴィニヨンの休眠と耐寒性の変遷]
 2005年から2007年までカナダ・オンタリオ州バージルにあるブドウ園で,仏米雑種‘バコ・ノワール’の灌水実験を行った.灌水実験は点滴灌水で行い,蒸発散による土壌水分損失の異なる3レベル(100,50,25%作物蒸発散量[ET c ])と3開始時期(着果期,果実成長停滞期,ベレゾーン期)を組み合わせ,樹体生理,シュート成長および収量に対する効果を無灌水の対照区と比較した.対照区および晩期点滴灌水区の土壌水分含量は,全期間でしばしば萎凋点(13.3%)以下となり,深さ50cmまででは処理間でかなりの変動があった.蒸散量は7月と8月で最も高く,8月下旬に低下した.生育期間中,着果期に開始した100%ET c 灌水区が最高値である一方,対照区は最も低い蒸散量であった.2005年と2007年には,シュートの成長量はほぼ同じ傾向を示した.25%ET c 灌水区は対照区よりわずかに大きかった.着果期に開始した100%ET c 灌水区の樹は,最大の成長量を示した.葉の水ポテンシャルは,栽培期間中の対照区と比較して,100%および50%ET c 灌水区でより高くなった.葉の水ポテンシャル値は,すべての処理区および実験年での8月下旬において低い値で推移した.対照区は2007年に最も低い葉の水ポテンシャル値を示した.対照区および着果期に開始した100%Etc灌水区は,すべての収量構成要素で差がなかった.点滴灌水処理区は対照区と比較していくつかの収量構成要素の増加を示したが,処理間で一定ではなかった.点滴灌水技術は,樹体生理と収量にプラスの効果をもたらし,オンタリオのブドウ園での有益な管理方法であると考えられた.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/325

T. Frioni, S. Zhuang, A. Palliotti, P. Sivilotti, R. Falchi, and P. Sabbatini:
Leaf Removal and Cluster Thinning Efficiencies Are Highly Modulated by Environmental Conditions in Cool Climate Viticulture.
pp. 325-335

[冷涼な気候下におけるブドウ栽培では,摘葉および摘房の効率は環境条件によって大きく変調する]
 生育期間の短い冷涼な気候下でのブドウ栽培の課題のひとつは,降霜前の収穫時にワイン原料として均一で最適な状態で成熟させることである.ミシガン州では,ブドウのヴェレゾンから収穫期までの気候の変化は年により異なり,収穫前に果実品質を評価推定するのは困難である.冷涼な気候下では,果実成熟を促すために摘房と摘葉が行われる.果房の選択的摘除である摘房は,ブドウのソース・シンク比を最適化し,果房近辺の摘葉は,果実周囲の日照,温度,通気などの微気象を変化させる.本研究では,2011年,2012年の2カ年において,カベルネ・フラン(3309C台)を試料とし,ヴェレゾン期に摘房と摘葉をそれぞれ独立あるいは組み合わせて行い,果実成熟に及ぼす影響を調査した.両年の開花期とヴェレゾン期はほぼ同じであった.ヴェレゾンから収穫期までの気温は,2012年より2011年で低く,収穫期は2011年が10月21日,2012年は10月3日であった.摘房は,果房の50%の果皮色が変化した時点で行い,無摘房区の1樹あたりの着房数は2011年:92±16房,2012年:78±14房に対して,摘房区では2011年:53±11房,2012年:47±10房とした.摘葉は,摘房処理と同時期に行い,新梢基部葉6枚を摘除した.熟度判定用の抽出試料で果汁糖度を経時的に調べ,平均21oBrixに達したときを収穫期とした.収穫時に,果房および果粒重量と果実内成分含量(可溶性固形物,pH,滴定酸度,アントシアニン含量,総フェノール含量)を分析した.可溶性固形物含量とアントシアニン含量については,果実品質の均質性を評価するために分析データの頻度分布も比較した.両年において,摘房は一時的に可溶性固形物含量を高め,摘葉は一時的に可溶性固形物含量を低下させた.アントシアニン含量は,摘房+摘葉により急増し,2011年では収穫期においてもその含量は高かった.果実内成分データの頻度分布をみると,2011年の可溶性固形物含量とアントシアニン含量は摘房+摘葉区で最も均質(分析反復間で差が小さい)であったが,2012年ではいずれの処理区でも均質性は低く,一定の傾向も見られなかった.成熟過程を遅延させる低温・低照度の気候下では,摘房と摘葉は,特にそれらを組み合わせることにより,成熟果の果実内成分含量を高め,より均一に成熟させることができる.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/336

S. L. Bolton, T. Mitchell, P. M. Brannen, and A.E. Glenn:
Assessment of Mycotoxins in Vitis vinifera Wines of the Southeastern United States.
pp 336-343

[米国南東部のVitis viniferaワインにおけるマイコトキシンの評価]
 マイコトキシンは多くの食料品の安全性に世界的な脅威を与える.赤ワインでは黒い胞子を持つAspergillus属により生産されるオクラトキシンAの汚染を受けやすい.これらの種の一部がマイコトキシンフモニシンB2を生産することが最近報告された.ほとんどの世界のワイン調査では,平均的なオクラトキシンAレベルはEUの推奨ガイドライン最大値(2 μg/ L)を下回っているが,安全性を確保するには貧しいヴィンテージや新興地域の毒素レベルを監視することが重要である.米国の南東部は暑く湿度が高いので,病原菌が増えやすく,高い病気の圧力によりワイン用ブドウの栽培が大変であるが,拡大するこの地域には550以上のワイナリーが存在する.南東部のブドウ園におけるマイコトキシンの潜在性を調べるために,2013年の収穫年の30の果房サンプル(代表的な10種類のブドウ品種,8種類のブドウ園,3つの州)を採取し,オクラトキシンAおよびフモニシンを分析した.さらにLC-MS/MSにより100%南東部で栽培されたVitis viniferaの赤ワイン約200ボトルを分析した.これらは6つの州で18のブドウ品種から2001~2013年に製造されたものであった.試験した157のワインのうち4つ(2.5%)がオクラトキシンA陽性であり,最大値は安全値である0.48 μg/Lであった.大部分(25/27,92.6%)は極低濃度(15μg/L未満)のフモニシン類(B1,B2,B3)を含み,健康被害のあるレベルよりかなり低いレベルであった.分析した30のブドウマスト中で一つだけがマイコトキシン類陽性(フモニシンB1が20.6μg/L)であった.これらの結果から,米国南東部のワイン産業ではマイコトキシンであるオクラトキシンAは発生率が低く,フモニシンの濃度もわずかであることが示された.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/344

E. Sherman, D.R. Greenwood, S.G. Villas-Boas, H. Heymann, J.F. Harbertson:
Impact of Grape Maturity and Ethanol Concentration on Sensory Properties of Washington State Merlot Wines.
pp. 344-356

[ブドウの成熟度とエタノール濃度がワシントン州のメルローワインの官能特性に及ぼす影響]
 成熟度が異なる時期に収穫したブドウから醸造したメルローワインの官能特性について,補糖やセニエを用い,エタノール濃度の影響を調べた.ブドウの収穫は,20,24,28oBrix時に行った.それぞれの収穫時にブドウマストの3分の1は通常の水溶性固形分濃度で発酵させ,残りの3分の2は収穫時のoBrixから生成されるエタノール濃度(11.6%,14.0%,16.2%)になるように調整した.ブドウの成熟度とエタノール濃度の両方が,ワインの化学的性質や官能プロファイルに重大な影響を与えた.ワインの物理的粘度はエタノール濃度が高くなるにつれて増加した.更に,高いエタノール濃度時は濃い色調のワインに関連する高分子色素重合体の形成に効果的であったなど,ワインの色調に影響を与えた.未熟果(20oBrix)から醸造したワインは緑のフレーバーと酸味を特徴とし,過熟果(28oBrix)から醸造したワインはフルーティーな風味と甘味があると評価された.補糖によりエタノール濃度を調整した実験では,ブドウの成熟度よりワインの官能特性に大きな影響を与えた.低エタノール濃度になるように調整した成熟果(24oBrix)と,過熟果から醸造したワインは未熟果実から醸造したワインと同様であったこと,また高いエタノール濃度になるように調整した未熟果から醸造したワインは,過熟果から醸造したワインと同様であった.この研究結果は,エタノール濃度及び必要とするエタノール濃度を達成するための調整がワインの化学的性質や官能特性に大きな影響を与え,ワインの官能プロファイルに対して収穫時のブドウ果実の成熟より,ワインのエタノール濃度が重要であることが示唆された.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/357

J. Niimi, P.K. Boss, D. Jeffery, S.E.P. Bastian:
Linking Sensory Properties and Chemical Composition of Vitis vinifera cv. Cabernet Sauvignon Grape Berries to Wine. pp. 357-368

[カベルネ・ソーヴィニヨンの果実とワインの官能特性と化学組成の関係]
 ワイン醸造者やブドウ栽培者が,性質の異なる種々のワインを醸造する際,適性を見極める為,ブドウを味わうことはこれまでに行われている.しかし,ブドウの味からワインのスタイルを予測する能力は証明されておらず,ブドウとワインの官能特性の関係は殆ど理解されていない.この研究の目的は,カベルネ・ソーヴィニヨンのブドウとそのワインの官能特性を調査し,2つのデータセット間の関係を決定することである.ブドウは南オーストラリア州の8つの地点から2年間にわたって23~25oBrixの間で収穫し,標準化したプロトコルを用いて醸造を行った.収穫年別に8つの地点からの合計25のサンプルを用いた.ブドウとワインは記述的分析で訓練された官能パネルによって評価した.ブドウは以前に報告されたBerrySensory Assessment(BSA)法を用いて評価し,ブドウおよびワインの基礎的な化学的パラメーターを測定した.サンプル間はブドウの化学的パラメーターおよび官能特性と,収穫年別のワインデータセットによって判別できた.ワインの5つの官能特性は,BSAやブドウの化学的指標によって中~高回帰でモデル化された.ワインのスタイルとプロフィールに関連するブドウの官能特性を見つけることは挑戦的なままである.oBrix,アントシアニン,ブドウをホモジネートした時の彩度などの基礎的な化学的指標は,両収穫年のワインの官能属性に対して信頼できる寄与因子であった.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/378

K. Rantsiou, V. Englezos, F. Torchio, P.-A. Risse, F. Cravero, V. Gerbi, L. Rolle, L. Cocolin:
Modeling of the Fermentation Behavior of Starmerella bacillaris.
pp. 378-385

[Starmerella bacillaris発酵挙動のモデル化]
 Starmerella bacillarisは,ワイン醸造用Saccharomyces cerevisiaeとの混合発酵に用いる非Saccharomyces種の候補として提案されている.将来的な有用性の中では,エタノール含有量の削減や糖度が高いマストから生じる酢酸の削減が特に注目されている.本研究では,ブドウマスト(200~330 g/L糖濃度)中での6つのS. bacillaris株の発酵挙動を示した.発酵における影響をみるため,時間(発酵日数)を第二変数とした.応答曲面方法は,菌株の挙動をモデル化するのに利用した.6つの菌株は,一様に一般的な挙動を示した.残糖濃度およびエタノール,グリセロールと酢酸の生成量は主に時間に依存していた.マストの初期糖濃度は,より初期糖濃度の高いマスト中でのグルコース残量と正の相関であった.同様に,リンゴ酸の消費は時間と糖濃度に依存しており,高い糖濃度のマスト中では阻害された.S. bacillaris株の挙動は,S. cerevisiaeとの混合発酵を伴う醸造方法に適合すると考えられる.

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/386

P. Valencia, K. Espinoza, C. Ramirez, W. Franco, A. Urtubia:
Technical Feasibility of Glucose Oxidase as a Prefermentation Treatment for Lowering the Alcoholic Degree of Red Wine.
pp. 386-389

[赤ワインのアルコール度を下げるための前発酵処理としてのグルコースオキシダーゼの技術的実用性]
 本研究では,グルコース濃度の低下と最終的にアルコール度を減らしたワインを生産するための手段として,グルコースオキシダーゼ/カタラーゼ酵素系の利用を評価した.グルコースオキシダーゼ,カタラーゼおよびグルコース濃度に対するエアレーションの影響を糖度27°のカルメネール・マストを用い,24と48時間後に評価を行った.その結果,エアレーションとグルコースオキシダーゼによる影響はグルコシダーゼのみによる影響と比べ有意差はなかった.加えて,グルコシダーゼとカタラーゼの併用は最も良い結果を示し,両方の酵素を200 U/mL 加えた場合,24と48時間後にそれぞれグルコース濃度を51と78%低下させた.この処理および,その後の発酵によりアルコール度は3および5日後にそれぞれ15% ±0.8(v/v),14% ± 0.8(v/v)になった.この処理の主な欠点はカルメネール・マストの色の変化であった.この要因は,カタラーゼ存在下にも関わらず,グルコースオキシダーゼ処理中の過酸化水素生成であった.この前発酵プロセスを利用する技術的実用性は分断された結論を導き出した.グルコースオキシダーゼ/カタラーゼ酵素系を用いてアルコール度を下げることは可能である.しかしこの目標が,本技術の産業応用であった場合,色の変化について更に研究すべきである.グルコースオキシダーゼ/カタラーゼ比の評価では,過酸化水素除去への改善性が示され,それによる色の変化の影響を減らすことが示唆された. 

英文要旨原文 http://www.ajevonline.org/content/68/3/390

C. Ubeda, R. del Barrio-Galan, A. P.-Neira, M. Medel- Maraboli, E. D.-Guerrero:
Location Effects on the Aromatic Composition of Monovarietal cv. Carignan Wines.
pp. 390-399

[栽培地の違いによるカリニャン単一品種ワインの香り成分への影響]
ブドウ品種カリニャンはスペイン,フランスそしてイタリアを始めヨーロッパ諸国で栽培されているだけでなく,メキシコ,アメリカ合衆国そしてチリでも栽培されている品種であり,その単一品種ワインの香りは特徴的である.チリは太平洋とアンデス山脈に挟まれ,5つの気候帯を持つ.ワインの揮発性物質への地理的の影響を,チリの異なる3気候帯からそれぞれ2地域ずつ選び,計6地域のワインを2012年と2014年にかけて調査した.調査は28のワインについて行った.HS-SPMEとGC/MSにより63の揮発性物質を検出し,多くのエチルエステル,少量の揮発性酸化合物及びその他の物質を同定した.主成分分析や線形判別分析によって地理的影響は有意な差(p < 0.05)を示し,ワインの生産地による違いが生じることを明確にした.ワインの地域の違いは揮発性物質に影響し,アンデス山脈に近い生産地では,海に近い産地に比べエステルや酸含量が低くなった.

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