American Journal of Enology and Viticulture
Volume 59 No.2 (2008)
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/117
M. Troggio, S. Vezzulli, M. Pindo, G. Malacarne, P. Fontana, F.M. Moreira, L. Costantini, M.S. Grando, R. Viola, and R. Velasco: Beyond the Genome, Opportunities for a Modern Viticulture: A Research Overview. pp. 117-127.
[ゲノムの向こうにある近代ブドウ栽培のための好機:研究の概観]
ブドウは世界で最も重要な果樹の一つである。2n=38のVitis種は60種すべて交配が容易な二倍体であることから、雑種が可能であり、後世の系統図も利用できる。栽培種Vitis viniferaは果樹遺伝学のためのモデルとなりうる。ブドウは、文化的にも経済的にも重要性を与えることから、過去2、3年の間に科学者コミュニティーから多くの注目を受けてきた。その結果、遺伝学およびゲノム研究の甚大な発展が起こった。ブドウゲノムの配列が決定され、V. viniferaの19個の染色体におけるDNAの全構成、全遺伝子および遺伝子構造についての情報が提供された。形質分類のための量的遺伝子座の同定を含めて、SSRマーカーに基づいた広範な遺伝子マッピングがVitis種で行われた。多くの単一ヌクレオチド多型がEST配列、BAC末端配列および特徴的なPinot noirの統合ゲノム配列から開発され、ブドウの包括的な遺伝子マップが提供された。単一ヌクレオチド多型マーカーは分子育種プログラムのための重要な資源であり、候補遺伝子を同定することによって遺伝子マップに基づいた遺伝子単離法および量的遺伝子座のマッピングのための新しい基礎を提供するものである。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/128
J. C. Danilewicz, J. T. Seccombe and J. Whelan: Mechanism of Interaction of Polyphenols, Oxygen, and Sulfur Dioxide in Model Wine and Wine. pp. 128-136.
[モデルワインおよびワイン中でのポリフェノール、酸素、亜硫酸の反応]
カテコールと酸素が反応した場合、過酸化水素とキノンが生成し、これらは両方とも亜硫酸反応するという反応の証明を得るため、鉄および銅を触媒できる濃度で含むモデルワイン中での酸素、亜硫酸、4-メチルカテコールの反応を調べた。ベンゼンスルフィン酸(BSA)の存在下でのカテコールの空気酸化では、BSA-キノン反応物がゆっくり高濃度で生成した。塩化第2鉄を加えると、この反応はさらに速くなり、このモデルワイン中でキノンが生成し、カテコールがFe(III)イオンによって速く酸化される事が示された。この反応は金属の触媒機能として重要である。酸素と亜硫酸の反応におけるモル比は1:2で、これは、亜硫酸1モル相当が過酸化水素と反応し、さらにキノンと反応するという反応系と一致した。キノンを捕捉するためにBSAを系に添加すると、モル比は1:1に減少した。酸素と亜硫酸の反応速度は、カテコール濃度に伴って増加した。しかし、酸素の反応速度は亜硫酸とBSAにより著しく増加し、キノンとの反応生成物がカテコールの自動酸化を速めることが示唆された。4-メチルカテコールが亜硫酸存在下で酸化された場合、重亜硫酸塩と反応して生成するキノンの38%がスルホン酸付加物を生成し、残りの大部分はカテコールに戻された。赤ワイン中でのO2/SO2の反応モル比は1:1.7であり、何らかの求核化合物がキノンに対して重亜硫酸塩と競合することが示唆された。酸素の反応速度は、赤ワイン中の亜硫酸濃度により促進された。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/137
L. D. Preston, D. E. Block, H. Heymann, G. Soleas, A. C. Noble and S. E. Ebeler: Defining Vegetal Aromas in Cabernet Sauvignon Using Sensory and Chemical Evaluations. pp. 137-145.
[官能および化学的評価を用いたCabernet Sauvignon中の野菜臭の決定]
16本のカリフォルニア産Cabernet Sauvignonワインを用いて野菜臭のスペクトルを調べた。記述分析による官能検査および熟練者によるアロマの共通性によるワインのグループ化を行った。記述パネルにより評価された全てのアロマの表現(野菜臭の表現として、ユーカリ、ピーマン、オリーブ、調理した野菜)において、これらの方法は全てのワインにおいて有意に異なった。熟練したワイン製造者・研究者は同じワインを、1つ目は個人評価による分類、2番目は野菜臭の強さによって、3つ目は硫黄臭の3つの異なる共通性グループに分けた。記述分析と熟練パネルによる分類との比較の結果、これらのワインの野菜臭による分類は、グルーピングと共通性が無かった。野菜臭と典型的に関係があるとされるメトキシピラジンをこれらのワインについて測定したが、記述分析の用語との相関は得られず、他のアロマ化合物がワインにおける野菜臭に関与していることが示唆された。この結果から、Cabernet Sauvignonの野菜臭における化学的組成と官能的な知覚は、従来考えられているよりさらに複雑な関係であることが示唆された。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/146
P. Yu and G. J. Pickering: Ethanol Difference Thresholds in Wine and the Influence of Mode of Evaluation and Wine Style. pp. 146-152.
[エタノールの濃度の違いの閾値と評価法およびワインスタイルの影響]
本研究は、ワインよってエタノール濃度が違うことを消費者が知覚できる最低限のエタノール濃度の差(エタノール濃度差の閾値、EDT)を決定するために行った。EDTはワインのスタイル、評価方法、およびEDTにおける初発エタノール濃度について調べるために、4つのベースワインについて直接香および戻り香に決定した。ワインはエタノール濃度11.6% v/vの Chardonnay(CL)、 13.4%のChardonnay(CH)、11.5%のZinfandel(ZL)および13.4%のZinfandel(ZH)とした。ワインのスタイル、評価方法、およびその相互作用においてエタノール濃度差の閾値は有意差があったが、初発エタノール濃度では有意差が見られなかった。最も良いと思われる閾値の違いは、民族性、ワインの消費レベル、パネルの経験と経験×性別において差が見られたが、性別間では認められなかった。しかし、エタノール濃度差の閾値は、これまで報告されている値よりも低かった。このことから、アルコール濃度調整の決定とその実践における理論的解釈に問題があると考えられた。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/153
J. L. Landon, K. Weller, J. F. Harbertson and C. F. Ross: Chemical and Sensory Evaluation of Astringency in Washington State Red Wines. pp. 153-158.
[ワシントン州産赤ワインの収斂味に関する化学的および官能評価]
赤ワインにおいて収斂味は最も重要な特性のひとつで、フェノール化合物に由来する。本研究の目的は、タンニン、アントシアニン、小さめ(SPP)および大きい(LPP)重合色素の濃度と収斂味の関係を調べることにある。ワインはタンニン濃度によりグループ化した。すなわち、タンニン濃度の低いグループ(400 mg/L未満)、中程度(400~800 mg/L)、および高いもの(800 mg/L)である。低、中、高濃度のCabernet Sauvignonを選び、訓練していない18名のパネルにより評価した。官能検査では低タンニンのものに対して、高タンニンワインは有意(5%)に高い収斂味の点を示した。2番目の実験では訓練したパネルを使い、Cabernet SauvignonおよびMerlotについて低、中、高タンニンと、アントシアニン、SPPおよびLPP濃度についてコンビネーションでの試験を行った。その結果、収斂味はタンニン、SPP、およびLPP濃度と有意に相関したが、苦味はSPP、LPP、タンニンの順で有意(5%)に相関した。これらの結果から、フェノール化合物(タンニン、SPP、LPP)と官能における収斂味や苦味との関連が示された。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/159
P. Winterhagen, S.F. Howard, W. Qiu, and L.G. Kovacs: Transcriptional Up-Regulation of Grapevine MLO Genes in Response to Powdery Mildew Infection. pp. 159-168.
[うどんこ病感染に対するブドウMLO遺伝子の転写活性]
うどんこ病耐性遺伝子座タンパク質MLOは原形質膜への小胞輸送に役割を持つと考えられている植物特異的な7回膜貫通型タンパク質である。MLO遺伝子ファミリーは、うどんこ病菌が宿主植物と親和性の関係を築くために必要である。そのようなMLO遺伝子はうどんこ病菌の感染に対し転写が増加し、MLOの機能が失われると、オオムギ、トマト、シロイヌナズナはうどんこ病菌に対する広範囲な抵抗性を付与される。この研究では、17のMLO遺伝子ファミリーをブドウのゲノム配列中に同定した。ブドウMLOファミリーのうち14遺伝子は茎頂、花芽、花、葉において、いろいろなレベルで転写されていた。ブドウMLO遺伝子の2つはブドウうどんこ病菌Erysiphe necatorの感染に対して転写が増加した。これら2つのブドウMLO遺伝子によってコードされている推定アミノ酸配列は、うどんこ病菌Golovinomyces orontiiがシロイヌナズナに病気を引き起こすために必要なAtMLO2、AtMLO6、AtMLO12タンパク質と同じクラスターに分類された。これらブドウ遺伝子のうどんこ病応答性とAtMLOに対する相関性から、ブドウMLO遺伝子もまたブドウうどんこ病菌E. necatorの病原性に必要であろうと推察された。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/169
M. Heuertz, S. Goryslavets, J.F. Hausman, and V. Risovanna: Characterization of Grapevine Accessions from Ukraine Using Microsatellite Markers. pp. 169-178.
[マイクロサテライトマーカーを用いたウクライナのブドウの解析]
ウクライナのブドウで間違って番号付けられたブドウを見つけ、それらの遺伝子多様性を解析し、他のヨーロッパブドウとの遺伝的相関を示すために、6つのマイクロサテライト遺伝子座(VVS2、VVMD5、VVMD7、VVMD27、VrZAG62およびVrZAG79)を用いて、ウクライナで広く栽培されている品種に相当する47のワインおよびテーブルブドウと照合のための28のブドウを遺伝子解析した。遺伝子型はEuropean Vitis Databaseを用いて決定した。遺伝子多様性(HE = 0.845)および対立遺伝子の豊富さ(AS = 8.09)は、先の研究に基づいて計算された他地域のブドウに比べ、ウクライナのブドウでより高かった。全データにおいて、地域性は同定されなかった。しかしながら、ワインブドウはテーブルブドウよりも有意に分化しており、ベイズ法により2つの遺伝子クラスターが同定された。その一つは主にテーブルブドウとマスカットブドウからなり、他方は主にウクライナを含むヨーロッパ全体のワインブドウからなるものであった。これらの結果は、ウクライナの品種の育種計画においてマスカットとヨーロッパのワインブドウの貢献を強調するものであり、生殖質の選択および歴史的かつ最近の生殖質の動きがブドウ遺伝資源の構造を生じる重要な因子であることを示唆する。ウクライナのブドウの遺伝的に豊富で変化に富んだ遺伝資源は、将来的なブドウの育種と改良のための価値ある資源であることを意味する。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/179
G.L. Main and J.R. Morris: Impact of Pruning Methods on Yield Components and Juice and Wine Composition of Cynthiana Grapes. pp. 179-187.
[Cynthianaブドウの収量構成要素、果汁成分およびワイン成分における剪定法の影響]
2002年から2005年の4年間、4つの剪定法をCynthiana (Vitis aestivalis Michx.)ブドウで行った。4つの剪定法は、手作業(50+10で剪定)、機械(80節まで切断)、機械+手作業(110節まで切断+80節まで剪定)および対照区(剪定なし)である。剪定法により、ブドウ樹の栄養および果実およびワインの成分にわずかな違いが認められた。剪定を行っていないブドウ樹は、最初の年にもっとも収量が多い反面、未熟であり、2年目に収量が低下したが、3年目に収量は落ち着いた。製造したワインは、1年目の剪定を行っていないブドウから製造したワインを除いて、剪定法、年による差は認められなかった。いずれの年においても、手作業と他の剪定法で得られたブドウから製造したワインには官能的な違いも認められなかった(2002年の剪定を行っていないブドウから製造したワインを除く)。最初の年の後、すべての剪定法から同様な果実およびワインを得た。最終年では、すべての剪定法で同じような収量であった。しかしながら、剪定を行っていないブドウ樹は、最後の2年間は、手作業で剪定を行ったブドウ樹と比較して、5日から10日ほど収穫日が遅れ、平均して38%多くの房をつけた。機械単独による剪定あるいは手作業とともに行った機械剪定の使用は、十分な生育期間を確保できる地域ではCynthianaブドウの生産に適用可能である。剪定を行わないこともまた可能であるが、更なる調査が必要である。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/188
RESEARCH NOTE:
M.M. Anderson, R.J. Smith, M.A. Williams, and J.A. Wolpert: Viticultural Evaluation of French and California Pinot noir Clones Grown for Production of Sparkling Wine. pp. 188-193.
[スパークリングワイン製造のために栽培されたフランスおよびカリフォルニアPinot noirクローンの栽培評価]
カリフォルニア州ソノマ・ロス カーネロズにある政府公認ブドウ栽培区画でスパークリングワイン製造のために管理されているブドウ園で、20のPinot noirクローンの栽培特性を評価した。8クローンはカリフォルニア大学デイビス校のFoundation Plant Services (FPS)から得たカリフォルニアクローンFPS2A、4、13、17、22、31、32および33である。8つのクローンはフランス(シャンパーニュ)が起源の389、521、665、666、668、743、779、780、870、871、872および927である。1999年から2001年を通して3年間、収量、収量構成要素、果実成分(可溶性固形物、pHおよび滴定酸度)および栄養成長を測定した。クローン間の可溶性固形物量は同じであった。収量と収量構成要素はクローン間で有意に異なっていた。FPS33とクローン389およびクローン666は最も高い収量を示し、FPS13、FPS22およびクローン870はもっとも低い収量であった。収量の違いは、第一に、房あたりの果粒数および新梢あたりの房数によるものであった。果汁のPHと滴定酸度は、値の幅は小さいけれども、クローン間で有意に異なっていた。クローン521およびクローン870は最も剪定重が重く、クローン780、クローン668、クローン665およびFPS31は最も剪定重が軽かった。剪定重に対する収量比であるRavaz indexはクローン780、クローン668およびFPS31で高く(>12)、クローン870、クローン521およびFPS17で低い値(~5)であった。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/194
RESEARCH NOTE:
A. Hermann and S. Voerkelius: Meteorological Impact on Oxygen Isotope Ratios of German Wines. pp. 194-199.
[ドイツワインにおける酸素同位体の比率における気象学的な影響]
ワイン中の水分におけるδ18O値を用いて、ワインの産地の特定とワインが水で希釈されていないかの証明することを行った。測定した値の評価には基準となるワインが必要であるが、手に入るとは限らない。また、ワイン中の水分の同位体比率を個別に推測するためのモデルや経験則も存在しない。そこで、本研究では気象学パラメーターである湿度と平均気温を用いて、ワイン中の水のδ18O値を推測するモデルの構築を行った。このモデルの性能を6つのビンテージの775本のドイツワインを用いてテストした。推定したδ18O値と特定の地域およびビンテージのワインのδ18O値との違いは0.4千分率以下であった。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/200
RESEARCH NOTE:
A. Schneider, D. Torello Marinoni, and M. Crespan: Genetics and Ampelography Trace the Origin of Muscat fleur d’oranger. pp. 200-204.
[遺伝学およびブドウ記述学を用いてMuscat fleur d’orangerの起源を追跡する]
いくつかのアロマの香りを含むブドウ品種を用いた分子プロフィールの調査により、歴史的に重要なヨーロッパブドウ品種の子孫として、Muscat fleur d’oranger(Orange Muscat)の系統図を同定した。マスカット臭と独特なオレンジの花の香りを持つこのブドウは、ChasselasとMuscat a petits grains blancs(Muscat blanc)との交配種から明らかに派生したものであった。この仮説は、遺伝的証拠、形態的証拠および歴史的証拠により支持された。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/205
RESEARCH NOTE:
A. Calo, A. Costacurta, V. Mara?, S. Meneghetti, and M. Crespan: Molecular Correlation of Zinfandel (Primitivo) with Austrian, Croatian, and Hungarian Cultivars and Kratoija, an Additional Synonym. pp. 205-209.
[オーストリア、クロアチア、ハンガリー品種およびZinfandelの異名であるKratoijaとZinfandel (Primitivo)の分子相関]
13個のSSRマーカーを用いた、オーストリア、クロアチアおよびハンガリー品種とZinfandelのDNA比較解析の結果を報告する。Zinfandelとの密接な関係を示す品種を調べる上で、イタリアおよび他国のブドウからなる26品種を外集団として用いた。Zinfandelは、Plavac mali、Plavina、Plavac maliの親であるDobrii、クロアチアのダルマチア海岸に昔からあるMalvasias、クロアチア品種JarbolaおよびHrvatica、オーストリア品種FranconiaおよびVeltliner fruhrot、ハンガリー品種Furmint、HarzeveluおよびKadarkaとクラスターを形成した。これらすべての品種は、オーストリア、ダルマチアおよびハンガリーを含む非常に限られた地域に局在している。Plavac maliおよびPlavinaとZinfandelの高い相関関係は21の他のSSR座から得られた結果により確認された。Zinfandelの異名であるKratoijaはモンテネグロで栽培されている古い品種であった。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/210
RESEARCH NOTE:
J. F. Harbertson, R. E. Hodgins, L. N. Thurston, L. J. Schaffer, M. S. Reid, J. L. Landon, C. F. Ross and D. O. Adams: Variability of Tannin Concentration in Red Wines. pp. 210-214.
[赤ワインにおけるタンニン濃度の評価]
1325本のVitis vinifera種(Cabernet Sauvignon、Merlot、Pinot noir、Syrah、Zinfandel、およびブレンドワイン)の市販赤ワインのタンニン濃度をタンパク質沈殿法で測定した。試料ワインはアメリカ(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン)、オーストラリア、フランスのものであった。タンニン濃度は30~1895 mg/Lの範囲で、平均で544 mg/L、標準偏差は293であった。単一品種内では、タンニン濃度のばらつきは10倍以上で、Cabernet SauvignonとPinot noirでは32倍のばらつきがあった。濃度差が大きいことから、他のグループとの重なりが認められた。しかし、5%の有意差で、Cabernet Sauvignon(672 mg/L CE)? Zinfandel(652 mg/L CE)> Merlot(559 mg/L CE)> Syrah(455 mg/L CE)> Pinot noir (348 mg/L CE)の順になった。異なる州で生産されたPinot noirとSyrahは統計的に差異が認められなかったが、カリフォルニア産のSyrahは、ワシントン州およびオーストラリア産のワインよりタンニン濃度が高かった。
英文要旨原文 http://ajevonline.org/cgi/content/abstract/59/2/215
TECHNICAL BRIEF:
V. F. Laurie, R. Law, W. S. Joslin and A. L. Waterhouse: In situ Measurements of Dissolved Oxygen during Low-Level Oxygenation in Red Wines. pp. 215-219.
[赤ワインにおける低レベルオキシゲネーション中の溶存酸素濃度の測定]
低レベルのオキシゲネーション処理中の溶存酸素濃度を測定した。文献に報告されているように、継続的な酸素添加により、ワイン中の溶存酸素濃度は増加した。本実験では2.4 mg酸素/リットルまでの濃度で実験を行った。オキシゲネーションしないワインではタンクの中央で4 μg酸素/リットルであった。ワイナリーの装置において溶存酸素濃度を測定するためには、適当なサンプリング方法と十分な感度をもつ測定器が必要である。